Thursday, April 7, 2011

水と甘夏の日々2 春の苦味




山梨県の白州町に暮らしていたとき、春の始まりのこの季節は種まきの季節でもあるが、
秋に収穫して保存しておいた野菜などがなくなり、今日食べる野菜が少なくなるってくるので
台所を与る女性陣たちはかごを持って、野山にでかけ食べられる野草を摘みに出かけた。
ヨモギ、セリ、たんぽぽの葉、湧水に群生するワイルドクレソン、
種が飛ばされて偶然育ったアスパラガスを見つけた時はほんとに小躍りした(笑)

セリには水場に生える水ゼリと野に生えて黄色い花を咲かせる野ゼリとあるが、
野ゼリは食べられないので、田端などの水辺にある水セリを探して摘んだ。
サラダやおひたし、みそ汁の具、煮物の彩りにとよく食べた。

野草は口に入るまでにそれなりの下処理をしなければならない。
水ゼリも野生のクレソンも、根についた泥をよく落とすのに時間がかかった。
だから、毎日食べる分しか摘まなかった。たくさん摘んでも、泥を洗い落とすのに
たくさんの水と時間を使うし、摘んだ日に食べないと美味しさは半減してしまうからだ。

畑でとれる野菜や豆、米もそうだが、野草のように天と地から頂く自然の恵みには、
お金はいらないが、調理されて人の口に入るまでには、きちんと手順をふまなくては
ならないし、手間暇がかかる。午前中に摘んだ野草が食卓にあがるのは夜だ。
山の恵みの山菜やタケノコはもっと時間がかかる、洗って茹でて灰汁を抜いて初めて
それが植物から食物になるのだ。だからこそ美味しいのだけれど、その手順はひとつも省けない。
(掘りたてのタケノコは稀に生でそのまま食べられます。)

今ではセリもクレソンもほんのスーパーの野菜売り場で、
花束みたいにセロファンにくるまれたものにしか出会いなくなってしまったけど、
白州の湧水に群生する野生のクレソンを初めて見つけたときも、
秘密の聖地に足を踏み込んだような気持ちになったものだ。
それまでの私の知ってるクレソンといえば、ハンバーグやステーキなどの
肉料理の端っこにう添えられてる、緑色の草ぐらいなものだったから。

思い出話になってしまいそうなので、話を今にもどそう。
山梨白州町の旅は今から18-19年前のことだからね。

東京、都心の桜が突然、満開になったのが、昨日2011年4月6日(水)
世田谷の桜は満開というほどでもなかったけど、5分-7分ぐらいは咲いていた。
昨日は桜だけでなく、椿、こぶし、木瓜、道端のスミレ、花という花すべてが咲いてた。
そして、今日は2011年4月7日(木)花曇りで明けた朝、
どうやら明日からは雨雲が広がり、週末にはまた放射性物質を含んだ雨が降るらしい...orz。
あぁ、春のこの時期の雨は花散らしの雨ではなく、花がより大きく咲くための恵みの雨だったのに
放射能が...(以下悲しくなるので割愛する)

ということで、また今日のうちにヨウ素やセシウムが検出されていないらしい?
東京の(いちおう浄水器を通す)水道水で、残り6つとなった水俣から届いた今年最後の甘夏を、
人生の折り返す前、最後の日に甘い甘い砂糖漬けピール(2度目の挑戦!)にして、
40年分のビタースイートを封じ込め2011年の春を忘れないために、保存しておこうと思う。

    ↑これは一昨日試しに初めて作ってみた甘夏ピール。
           母の持っていた昭和のジャムと保存食の本のレシピを
           参考に作ってみた。一齧りすると気が遠くなるほどの
           刺激的な甘さにくじけそうになったのでリベンジ!
今日は刺激的で官能的でも控えめで奥ゆかしく
  酸いも甘いも知り尽くした大人の味を目指すわ!

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